帯状疱疹
- 2024年7月11日
- 注目疾患
(原因)幼いころ罹患した水ぼうそうのウイルスが,脊髄後根にかくれていて,一生に1回甦ったものです。脊髄からでる左右いずれかの神経領域の皮膚で水疱を作り,知覚神経を食べて神経痛のようなピリピリヒリヒリした痛みが出ると考えてください。小児では痒く感じることがあります。また一生に1回と言いましたが,人間長生きするようになって2回目が出る人も多くなってきました。
(皮膚症状)水ぼうそうのような水疱が集簇して,左右どちらか一方の神経領域に一致するように発症します。①最初はチクチクピリピリした痛み②その部分が赤い浮腫になって③水ぶくれができて一部黄色くなります④2~3週間で黒褐色のかさぶたになります。
(治療)①抗ウイルス剤:まずは抗ウイルス剤の内服薬を1週間飲みます。効果を発揮するのに2~3日かかりますので,最初皮疹が拡大することがあります。②鎮痛薬:痛みを抑えるためにロキソニンを内服してもらいます。強い痛みがあるときは別の神経を抑える薬を追加します。それでも我慢できない痛みが残るなら麻酔科で神経ブロックなどをしてもらう必要があります。③皮膚潰瘍:皮疹部が深い傷になって皮膚潰瘍化することがあります。この場合傷の手当が必要になります。
(日常生活の注意)①休養:できるだけ休養して安静にした方がいいです。仕事や学校を休むことまではしなくてもいいですが,少し怠けている位が丁度いいです。体育や不要な運動も控えてください。②入浴:入浴はOKです。温めた方がいいです。ただし傷が深い場合,浴槽は避けてシャワーで済ませてください。③消毒:消毒はしなくていいです。④飲酒:飲酒は控えて下さい。⑤痛い時は冷やすか温めるか?:温めた方が痛みは和らぎます。使い捨てカイロで温めるのもいいですが,そのまま寝てしまうと大やけどになるので起きている時だけ使ってください。⑥他人にうつる?:水ぼうそうにかかったことのない人に水ぼうそうとしてうつることがあります。帯状疱疹から帯状疱疹はうつりません。小さなお子さんや妊婦さんには触らせないようにしましょう。
(予後)油断ができないことで有名な病気です。1週間後には必ず受診してください。その時痛みがなくても,その後ひどい痛みが出てくることがあります。いわゆる帯状疱疹後神経痛ですね。
また広範囲の皮膚潰瘍になり傷の手当てを必要とすることがあります。さらに醜い傷跡として残ることもあります。