いぼ・水いぼ
いぼ・水いぼ
いぼとは、皮膚から盛り上がる小さな腫瘍のことです。いぼの種類にはいくつかあります。
ヒトパピローマウイルス(HPV)が感染してできたもの。一般的にはいぼとはこの尋常性疣贅のことをいいます。このページでは主にこの尋常性疣贅に対する当院の治療について後ほど説明します。
よく「水いぼ」と言われます。小児多く、急に体のあちこちに小さな水っぽいいぼが多発します。水いぼの治療は他のいぼの治療に比べてかなり特殊なので、一番最後に説明します。
中年以降、首回りに多発して目立つ醜いいぼです。アクロコルドン、スキンタグともいわれます。これは皮膚の良性腫瘍で、原因は太陽に長期当たったことや突然変異のため皮膚遺伝子異常が起こってできると言われています。治療には電気メスや液体窒素を使います。
ご高齢の方の全身のあちこちにみとめる黒色で固い石のような腫瘤のことです。数mm大のものから数cm大のものまで、数も多発することがあり、気になる方も多いと思われます。大きいものは手術で摘除しますが、多くは液体窒素で取ることが多いです。
外陰部に性交渉によってウイルスが感染してできます。カリフラワー状の小さないぼが多発します。この尖圭コンジローマにはベセルナクリーム®という外用剤があるのでこのクリームを使いますが、副作用で水ぶくれができたり、痛みを感じることがあるので注意が必要です。
最初に述べましたように尋常性疣贅の原因はヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚の角質に感染したことによってできます。
それではどうしてウイルスが感染するのでしょうか。このHPVウイルスはどこにいるのかというと、元々は自然の中にあったと考えられます。ウイルスが人間に感染し、そのいぼ病変から増殖したウイルスのかけらが我々の生活環境の中にぽろぽろとこぼれて落ちていくのです。これが靴を履いて歩く道路などに落ちるのであれば例え踏みつけても感染しないと考えられます。
ですが人が裸足で行動するプールサイドや格闘技道場などに零れ落ちたりするとどうでしょう。足の裏にある引っかき傷やかすり傷あるいは目に見えないようなわずかな傷からウイルスが侵入することが分かると思います。
また家族に尋常性疣贅の患者がいると、HPVウイルスが家庭内に落ちている可能性があります。ウイルスは栄養などなくても一定の条件があれば死滅せず残っています。
HPVウイルスはあなたのそばにいたとしても目に見えないので接触を防ぐ手立てがないのです。こうしたやっかいなHPVが偶然あなたの皮膚に感染したとしても仕方がないのかもしれません。
さてHPVウイルスについて色々話してきました。一般的に尋常性疣贅の治療は難しい、長期間かかると言われます。
その理由の一つに尋常性疣贅は皮膚が角化してとても固くなっていることであると私は考えています。
そのため、当院では全国で標準療法になっている液体窒素を用いた冷凍凝固法を基本としますが、固くなっている部分を柔らかくする工夫をしています。この工夫によって尋常性疣贅の患者様の治療期間が格段に短くなりました。
ただしここまではほぼ全ての尋常性疣贅患者様に行うのですが、それでも治らない患者様にはどうするか?私は一定の期間で治らなければ下記に記す様々な特殊治療を試しています。
水いぼの治療は水いぼを「取る」か「取らない」かで大きく違います。小児科では水いぼが少数であって、親御さんが摘除を希望しても決して取ってくれない病院が多いようです。それだけ水いぼ摘除には技術が必要なのです。最初は少数だったのに、水いぼを小児科で摘除してくれなかったためにすごく増えてしまいました、という親御さんの不満を聞くこともあります。
当院ではシール型の麻酔をしてから摘除するので痛みを少なくして水いぼを取ることができます。
しかしそんな私でも水いぼの数が40個以上とか多数ある場合、摘除しない方がいいと判断することもあります。その場合はヨクイニン長期内服でウイルスに対する抵抗免疫を強くする方法を推奨します。
場合によっては露出部位だけ摘除してくれとか、その人に合わせた治療法を考えます。当院では水いぼの患者様を多数経験しているので、自信をもって治療に当たれるつもりです。